いろこい

4月になっても学校は始まらなかった。生活リズムとかあるので正直授業には始まって欲しかった。勉強は好きではないけど、かと言って家でゴロゴロしていると頭が痛くなるので、学校に行きたい。学校へ行くこと自体は好きかも知れない。特に会いたい人がいるわけでもないし、楽しいことがあるわけでも、やりたいことがあるわけでもない。数は少ないけど顔を合わせれば馬鹿な話で盛り上がれる友人はいる。そいつらと話しているとなかなか楽しいものだ。もう恋はさんざん、たくさんだなんて言っても、なんだかんだで何かしらあるもの。女の子たちはおれを放っておいてはくれない。なんてね。しかし、一度に2人の人に同じような気持ちを抱くとはいかがなものか。一人はバイト先の人。3月いっぱいでやめるから、と突然言ってきた彼女。このままだともう会うこともないのかーと思うと、それまで特別に意識したことはなかったのに、なぜかほんのり寂しさがわいてきた。これが春の力なのだろうか。それ以来メールなどをしている。来週車ででかける。女の子を乗せるのは初めてだ。もう一人は高校時代の傷跡みたいな人だ。高三の文化祭で出会い、それから何度か会ったりしたが、急に連絡が取れなくなった人。その後別の彼女ができてすぐに忘れていった。いつのまにかアドレス帳からも消えていた。先日、彼女から突然電話がかかってきた。話しているうちにみるみる彼女の記憶が蘇り、まだなんとなくだけど、あの頃の気持ちが戻ってきた。彼女とは何も終わっていないし、何も始まっていなかった。今は社会人をしているらしく、月末に会うことになった。
今のおれはかなりいい加減だし、とても人と深く付き合えるような状態ではないと思う。でもなにか変われたら、と毎日思いながらなんとなく生きている。それから、二人には病気のことを話すつもりはない。病気について人に話すことはなんの意味もないと気づいたから。「あっそ」で終わるか、無駄な心配をかけるか。あと一ヶ月もなにをしていようか。