方向音痴

ぼくは方向音痴だから初めての道を歩くときは、いつも来た道をふり返りながら歩かなければならない。それでも帰る頃には忘れてしまうのだけれど。どこに行こうかわかってるはずなのに、地図を見ながらでも道を間違える。もっとも地図を読み違えていることがほとんどなのだが。
節目々々に過去をふり返る。ああだったな、こうだったな。同じことを何度も思い出すことはあるけれど、多くは色褪せていく、記憶が薄れていく。記憶とは再認識することで、再び当時の映像を頭の中で焼き直すことだ。二度と同じ再生がされることはない。同じように視えても微妙に違っているものだ。「あれ、あの時こんな気持ちだったっけ。」