叱ること

夏休みからバイト先で集団の授業を持たせてもらっている。集団とはいえ少人数なのだけど、とても難しい。一般的に言って難しいものなのだろうけど、どこに難しさを感じるかは個人差があると思う。僕は生徒を「叱ること」に難しさを感じている。簡単に言うと、怒れない。授業中にガムを噛んでいたり、隣の子とおしゃべりをしていたり、まじめに問題をやらなかったり。そういった場合、はっきりと注意しないといけないのだろう。研修の時もハッキリ叱れ、と教わった。でも叱れない。その場の空気を悪くしてしまうのではないかと思うと気が引けてしまう。
自分が中学生の頃通っていた塾の先生はみんな恐かった。怒られるのが嫌なので、必死にまじめに勉強していた覚えがある。その頃は、先生(大人)の顔色を伺うことができない人は頭がおかしいんじゃないのか、大人の意向に沿えない人間はどこがズレているんじゃないかと思っていた。
夏休みに一度だけ怒鳴った、というか少し語気を強めて注意したことがあった。何度言ってもおしゃべりをやめなかったからだ。その時も怒ることにはたぶん人一倍抵抗を感じていた。そんなことを先輩講師に相談していたら、「言うときははっきり言わないとだめだよ」と言われたので、試しにという感じで注意したのだ。すると、案の定その生徒はしゅんとしてしまって、その日はもう一言も口をきかなくなってしまった。こっちまでしゅんとなってしまった。以来叱ることができないでいる。
小学校や中学校時代を思い返してみると、いつのときも怒鳴り散らしてばかりいるやかましい教師がいた。彼らはどんな神経をしているのだろう。今でもそんな教師のことを半ば本気で「頭がおかしいんじゃないか?」と思っている。だけど、子どもを本気で叱ってやることは教師あるいは大人にとって必要な能力なのではないかと思う。ほめることと叱ること。アメとムチをうまく使い分け、生徒の能力を最大限に引き出してあげられる教師がいまの自分の理想像です。難しいなぁ…