3日目

朝起きると体がだるかった。昨日の夕方くらいからだるいなぁと思っていたのだが、ごまかしていた。父の体の腐敗が思ったより早かったらしく、家中が腐敗臭で大変なことに。体の至る所に転移していただけに、至る所の痛みも激しい。おくりびとのような納棺士の方がいろいろなケアをしてくれた。ちらっとのぞいたが、内出血がひどく思わず涙が込み上げてきた。闘病生活がいかに壮絶だったかを物語っているようでとてもつらくなった。そんなことを考えていると家にいるのが耐えられなくなってきた。父を思い出さずに済むものはこの家にはなにもなかった。
気を紛らわすために水泳に行ってきた。日曜日に剣道をしたせいで体は少し重かったが、というかその疲れと泣き疲れとで本当にだるかったのだが、自然と泳ぎに力が入った。泳いでる間は無心になれた。水をかく手、蹴る足、呼吸。ひとつひとつの動きに神経を研ぎ澄ませ、ひたすら泳いだ。1時間ほど泳いだところでサウナで休んでいると、そこに中学時代の恩師が現れた。部活の顧問。おれに剣道を初めて教えた人。たまにここで泳いでいるらしい。近況報告など。稽古会を開いているからお前も来いと誘っていただいた。今週の土曜に誘われたのだけど行けるかな。こんな時に不謹慎かと思うけど、家にいてもすることないし。こういう縁は大事にしたいから多分行くと思う。行ったらまた書こう。
帰宅後、やはり体はだるくばたん9。今朝起きて熱があったので病院へ。主治医も先生に父が亡くなったことなどを報告。人に言うのも慣れてきたかもしれない。最近始めたバイト先の店長、塾の社員、主治医。直接口で伝えた人はこれくらいかな。だんだん冷静に言えるようになった。最初なんって電話口で号泣してしまって向こうも困ったろうな…。
父の肉体とも別れが近づいている。魂との別れが満足にできなかったから、せめて肉体との別れくらいは、と思いできるだけ父のそばにいようと心がけている。あまり長い間いるとつらくなってしまうのだけど。明後日の告別式で簡単な挨拶をすることになった。毅然とした態度でしっかりとしたいものだが、そんな自信は全くない。